広告運用の目標はしっかり定めていますか。
よく使用される指標は「CPA」と「CV」ですね。
一番多いのはCPAでしょう。しかしあくまで一つの判断材料に過ぎません。
獲得単価を重視するとCVを取りこぼす。守りの姿勢になるからです。それゆえビジネス展開が鈍ることも否めません。
ではCV数を目標に捉えるべきでしょうか?
答えは正しくも間違いでもある。もちろんCV数が増えれば売上も上がります。しかし許容CPAを超えると利益が出ません。これでは広告を流す意味はないでしょう。
つまり成果は二つの指標を合わせて判断するべきです。
結論を言うと広告運用の成功モデルは4つ。どれを目標にするかは「商材」「予算」で決まります。なので事前に方針は決めておきましょう。
方向性を定めれば戦略が見えてくる。適切な施策も打てましょう。つまり目標達成の確率が高まりますね。
今回は「リスティング広告の成功パターン」について解説します。
CONTENTS
リスティング広告の価値は4つ
リスティング広告の価値は4つに分類できます。
なぜならCVとCPAの掛け合わせが4パターンだから。どの商材もこのいずれかに該当すると認識してください。下記を基本形に見ていきましょう。
- CPA = 1,000円。
- CV数 = 100。
- 広告費 = 100,000円。
CV数が増えてCPAは下がる
- CPA = 500円
- CV数 = 200。
- 予算 = 100,000円
CPAが下がりCV数が増加するパターンです。
広告を流す際、1CV当たりの利益が増え、予算内での販売数まで増えます。リスティングの成果として理想でしょう。
当然ここを目標にしたいですね。しかし難易度も高いです。
まずCPAを下げるには無駄を削る必要がある。ボトルネックを見抜かなければいけません。その上でCV数を増やすわけです。なので新たな施策が必要でしょう。そして「削る」+「新規施策」が同時に機能して起こせるモデルなのです。
広告主はこの理想を求めます。しかし概ね達成できるのは次の場合でしょうか。
「既存の運用者よりもハイパフォーマーな人が担当する時」
広告運用は属人性が強い分野だからです。達成すればビジネスが進みましょう。しかし簡単ではないことを認識してください。
CPAは変わらずCV数が増える
- CPA = 1,000円。
- CV数 = 150。
- 広告費 = 150,000円。
CPAには変化なくCV数が増加するパターンです。1CV当たりの利益は変わりません。ですが販売量が伸びます。
実現すれば成功です。
Web集客に意欲的なら相性がいい
このモデルは集客意欲が強い場合に噛み合いますね。
業種で言えばマッチングビジネスや通販でしょうか。二つに共通しているのはWebからの集客が大半であること。なので利益が出ればスピードよく展開したいと考えます。
もちろん広告費は増えます。しかし粗利を担保できるなら販売量を伸ばすべき。Web広告の王道パターンです。
予算に制約があれば採用しづらい
他方で予算に上限があるなら採用できません。
CV数を増やすには攻める必要がある。CPAが高まるかも知れませんね。強気に広告を届けるからです。
仮に広告費が多ければ全体を調整すればいい。しかし制限があれば、「攻め」と「予算」のバランスが合わず、CPAが悪化しやすいのです。
そのため失敗しやすいパターンでもある。現状を維持しつつ新たに展開するイメージでしょうか。達成するには高い運用力が必須です。
CPAが上がりCV数も増える
- CPA = 1,200円。
- CV数 = 150。
- 広告費 = 180,000円。
CPAが上がりCV数も増えるパターンです。1CV当たりの利益は減る。しかし販売数は伸びます。
獲得単価が上がるので失敗でしょうか?いえ状況次第で成功です。
予算に余裕があるなら噛み合う
このモデルでは変動する要素がもう一つあります。広告費ですね。
今回で言えば80,000円増えている。しかしCV数も増加しています。つまりCPAを守れば総合の利益は大きくなります。数の「規模」で勝負するなら噛み合いましょう。
実はこういった局面は頻繁に起こります。
と言うのもリスティング広告では競合が増えています。なのでクリック単価の高騰は避けられません。すると獲得単価も悪化します。
それではCPAを守るよう入札を弱めればいいでしょうか。そうすると今度は機会損失を起こしかねません。広告オークションに負けるため。
そこで多少の高騰を受け入れ、CV数を増やし、総合力で勝負しましょう。すると状況を打破しやすい。要は取りうる「選択肢」が広がるのです。例えばキーワードを増やしたり配信面を広げたり。まとめると資金力があればマッチングしましょう。
リピート商材で採用しやすい
噛み合うケースがもう一つ。それはリピートできる商材の場合です。
通販サイトで考えてみましょう。例えば美健ECでは定期購入やバックエンドでの販売機会もある。広告は最初の接点に過ぎません。リストを獲得する役割とも言えましょう。であれば多少CPAを高めても後で回収すればいい。
もちろん獲得単価が下がるに越したことはありません。しかしCVを取り損ねては全体の最適化が進まない。なので目先より中期で判断するなら噛み合いましょう。
CV数は変わらずCPAが下がる
- CPA = 500円。
- CV数 = 100。
- 広告費 = 50,000円。
CV数は変わらずCPAが下がるパターンです。メリットは広告費を削減できることでしょうか。
高額予算で採用しやすい
このモデルは高額予算で威力を発揮します。月間1000万の広告費で考えてみましょう。この金額になるとアカウント内の「無駄」を削ぎやすい。費用が大きく荒削りな部分を見付けやすいからです。
だからボトルネックを改善する。すると1cv当たりの広告費を減らせましょう。つまりCV数を確保しつつCPAが下がるのです。結果的に費用を圧縮できますね。実際パフォーマンスを維持したまま100万減らすことは簡単です。そしてそのインパクトは大きい。毎月その予算を違う部分に投入できるためです。
もちろん同じ費用で更なる成果を望むのも悪くありません。しかし売上より「経費」を削る方がリターンが大きい場合もある。そんなシーンで合致するパターンでしょうか。
低額予算では採用しづらい
逆に低額予算では採用しづらいです。広告費が少ないのにCPA重視になればどうなりますか?著しくCV数が減るのは明らかでしょう。もちろんそれで構わない、というのなら話は別です。
しかし広告本来の目的であるビジネスの加速に至ることはない。なので一定水準まではCPAに過敏になるのを推奨しません。機会損失を起こすより全体の利益で考えた方が賢明でしょう。
長期と短期をバランスよく考える
リスティング広告の成功モデルを見てきました。最後に大切なことを共有します。
前述した4パターンは全体の目標に過ぎません。中長期での方向性とも言えましょう。もちろん最上位の概念であることに相違ありません。しかし縛られ過ぎてもいけない。こだわると動きが鈍くなりパフォーマンスが下がるのです。
CPAを下げCV数を取りに行く方針で月の動きを考えてみます。前半で予想以上にCPAが下がったとしましょう。しかしCV数は今いちな状態。こんな状況なら後半はどうしますか?
答えはCPAを上げて数を取りに行ってください。するとアカウント構造を変える必要があります。取りうる施策も増やすに違いありません。要はやることが変わるのです。なぜなら同じ思考のままでは月の目標値に届かないため。
運用は競合の存在、季節的な問題、予期せぬトラブル等で思い通りに進みません。だから短期ではテクニカルに乗り切ることも必要です。つまり全体を意識することだけが全てではありません。鳥の目を持ちつつ蟻の視点でも状況を眺めてください。
そうすればボトルネックに気付けます。行き過ぎたなら少し弱める。流れが弱いなら強めましょう。今どこにいるかを見抜きバランスを取ること。これが長期に渡ってパフォーマンスを出す秘訣です。
まとめ
今回は「リスティング広告の成功パターン」について解説しました。
正しい目標を設定する。その上でそれに沿った行動を起こしてください。これだけで失敗を防げます。
しかしやり方に拘りすぎてはいけません。何が起きるか分からないのが広告運用の世界です。柔軟な思考を持って目の前の問題にも対処したいもの。
「部分」と「全体」を行き来できればハイパフォーマンスが得られます。