広告を流す際に大事な指標があります。CPAですね。
許容の範囲を決めないと広告はうまくいきません。費用が売上を超えれば赤字ですから。なのでまずCPAを定める。これは絶対条件ですね。
では目標値はいくらにするべきでしょうか。
少しでも利益が欲しいならCPAを下げればいい。しかしこの判断がベストとは限りません。今度はCV数が減ってしまうためです。
なので目標は適切に定めましょう。
まず許容CPAを理解する。そして状況に合わせて値を設定する。その上で決めた基準で運用してください。このプロセスを踏むだけで勝率が上がります。
今回は「CPAの計算方法と目標設定」について解説します。
CONTENTS
CPAとは
CPAとは1CV当たりにかける広告費のこと。定義は商材によって変わります。
一般的なCPA
基本形を見ていきましょう。売上から原価や人件費を引いたものをCPAとします。つまり粗利ですね。
この値を超えなければリスティングで赤字を出すことはありません。損益分岐点になる数字なので「限界CPA」と呼ばれます。
売上が確定しない場合のCPA
違うモデルを見てみましょう。売上で指標を測れないならどうするべきか。
例えばサイトのゴールが「資料請求」や「お問い合わせ」の場合です。このパターンでは売上に繋がる成約率を加味すれば算出できる。下図で表せますね。
見方を変えれば「1件の問い合わせの価値」を測れるとも言えましょう。
英会話スクールの場合
英会話スクールで考えてみます。サイトのゴールは無料レッスンの問い合わせが多いです。
高額サービスではいきなり売上に繋がりません。無料体験を挟みユーザーの検討度を高めるのがセオリーです。
仮に広告経由で問い合わせをした人が100人だとします。このうち3人が100万円のコースを契約すれば成約率は3%。
時間が経過すると成約率は平均化されます。
これらを先程の式に当てはめましょう。
- 売上100万円。
- 成約率3%。
- (限界)CPA = 100万 × 0.3 = 3万円。
CPAを算出できました。つまり3万以内で反響があれば赤字になりません。無料体験の予約には「3万円の価値」があるとも言えましょう。
通販サイトのCPA
では通販サイトの場合は?美健ECではLTVを考慮するのが基本です。
LTVとは
一定期間に顧客が購入したトータルの金額。
それゆえリピート率を踏まえると適正値を算出できます。次の図をご覧ください。
CPAに余裕が出ましたね。もちろんリピート率を入れなくても構いません。しかし余裕があれば、CV数も増え、トータルの利益が向上する。つまり計算方法は一つではないのです。商材に合わせた定義が大切です。
目標CPAを理解する
より重要な概念を見ていきましょう。「目標CPA」です。許容CPAとも呼ばれますね。
前述までの内容はあくまで限界CPAについて。この値ギリギリで運用すると利益が出ません。なので実際は限界CPAから「確保したい利益」を引いた金額を基準にする。この値が目標CPAです。下図の通りですね。
いかがでしょうか。この値を守れば1CV毎に利益が出ませんか。
我々は日頃からCPAという言葉を使っています。そのほとんどは「許容CPA」を指しているのです。
そして欲しい利益を決めるのは大切なプロセス。広告を届ける対象を決める作業、とも言えるためです。次項で見ていきましょう。
目標CPAが低いことが正解とは限らない
可能な限りリスティングで利益を出したい。広告主様は必ずそう感じるはずです。ではとにかく許容CPAを下げるのが正解でしょうか?1CV毎の利益が増えるので一見そう思えましょう。
しかし現実は甘くありません。許容を狭めると運用の選択肢まで減る。なので今度はビジネスが進みません。要はバランスが重要なのです。ここが広告の難しい部分でしょうか。なので目標CPAは状況に合わせて設定しましょう。
・許容CPAを下げる場合。
・許容CPAに余裕を持たせる場合。
・許容CPAを高める場合。
理解を深めるため3パターン解説します。
許容CPAを下げる場合
このモデルでは1CV当たりの利益が最大化されます。
しかし獲得CV数は多く望めません。施策のパターンが限定されるため。キーワードで言えば成約率が高いものに絞られましょう。例えば指名ワードが該当します。
要は目先重視なので拡大路線は狙えません。ではこの方針は掲げない方がいいのか。それは状況次第です。制限ある状態ならこの基準を採用してください。
例えば予算が少なかったりスモールスタートの場合だったり。広告費が少ないならその中で最大の成果を狙うのは当然です。そうなるとCPA重視が噛み合いましょう。
またスモールスタートでは結果を出すことが第一。まずは確実に成果へ繋げる。その上で規模を大きくするのが鉄則ですね。こんなシーンでは獲得単価を抑えることが優先と言えませんか。まとめると目先重視なら許容CPAを下げてください。
参照リンク :
なお指名ワードについては下記で解説しています。ご参照ください。
許容CPAに余裕を持たせる場合
このパターンでは1CVの利益が少し下がる。一方で広告を届ける対象は広がりましょう。下図をご覧ください。
「検討層」にまで接触できませんか。ハードルを少し下げればビジネスチャンスが増えるのです。確保する利益は大事。しかしそれなりにCV数も取りたい。そんな場合は許容CPAに余裕を持たせてください。
許容CPAを高める場合
許容CPAを高めれば1CVの利益が大きく減ります。
反対にアプローチできる範囲は最大になります。下図をご確認ください。
潜在層にまで接触できますね。施策の選択肢が大幅に増えるわけです。部分一致を用いたりディスプレイ広告に挑戦したり。あらゆる手法を組み込めましょう。なので数を取りに行くシーンで合います。
または中期で利益を回収する場合でしょうか。リピート通販が該当します。ユーザーが何度か購入すれば費用を回収できますね。目先の利益より数で勝負したい。そんな場合は目標CPAを高めるのも悪くありません。
本記事の内容は一般論です。CPAを下げつつCV数を飛躍させるのは可能です。しかし難易度は高い。もちろん私はここを基準にします。
参照リンク :
部分一致については以下で解説しています。ご参照ください。
まとめ
いかがでしたか。今回は「CPAの計算方法と目標設定」について解説しました。
獲得単価は商材に合うよう定義してください。欲しい利益を定めれば運用の基準が明確になります。
注意する点は許容値を下げ過ぎないこと。広告を届ける範囲まで狭まるからです。総合的なパフォーマンスが下がれば賢明とは言えません。
理想は適正値を設定しつつ獲得数も狙うことです。そして状況次第で柔軟に変えることでしょうか。それには相応の経験値が必要です。
最後におさらいです。見合った数字を目標にする。そこをガイドに運用していく。このプロセスを踏めば勝率が上がります。
参照リンク :
記事内で触れたように獲得単価が全てではありません。リスティングの価値は「CPA」と「CV数」の組み合わせで決まります。下記にまとめましたので併せてご参照ください。