広告文を適切に作成すれば、リスティング広告のパフォーマンスは向上します。
広告文の立案というと簡単そうに見えますが、意外とそんなことはありません。
単に商品情報を列挙した文章なら、ユーザーは見向きもせず、クリック率が下がります。反対に、クリックばかりに意識を置き、盛り込み過ぎな内容を訴求すると、今度はサイト側でCVが起きないからです。
しかし、広告文の訴求をしっかり打ち出せれば、次の結果が見込めます。
- サイトに質のいいユーザーを送客できる。(間接的にCV率が高まる)
- クリック率が高まる。(CV獲得の機会が増える)
それ故に、私は広告文を重要視しています。今回は「成果の出る広告文」について徹底解説します。
広告文の本質は繋ぎ役
最初に広告文の役割を整理します。
と言うのも、広告文の本質をしっかり認識していれば、適切な広告文を作成できるようになるからです。まず、広告文の役割とはあくまで「繋ぎ役」です。下図をご覧ください。
「キーワード」は、検索ユーザーが持っているニーズ。「ランディングページ」は、商材を指します。この二つをどううまく「マッチングさせるか?」が、広告文の役割です。
このように考えれば、広告文は単純にクリックをさせるためにあるのではなく、質のいいユーザーをサイトへ集客するための「橋渡し」であると言えます。
キーワードとセールスポイントを結び付ける
では、広告文はどのように作成していけば良いのでしょうか。
繋ぎ役だからと言って、単に商品情報を掲載すればいいわけではありません。リスティング広告は、比較をされることが前提の広告ですから、クリックをしてもらえるように、工夫が求められるからです。
例えば、美容クリニックへの集客で考えてみましょう。
目の二重手術を検討しているユーザーは、検索エンジンに「二重整形」と入力をします。
この時、自社だけではなく、競合の美容クリニックの広告もたくさん表示されます。この状況で、自社の広告を選んでもらえる(クリックしてもらう)には、検索ユーザーにクリックを促すよう、メリットを提示しなければなりません。
そこで、心がけたいのが「セールスポイント(自社の強み)」です。ユーザーにとって、メリットのある内容(セールスポイント)が表示されれば、興味を持ってもらいやすくなるので、クリック率が向上するからです。
また、ここが肝心なポイントなのですが、セールスポイントは、サイトの内容に掲載されているものを活用しましょう。
ユーザーの立場になって考えてみてください。仮に、広告文でセールスポイントを訴求できても、広告をクリックした後に、サイト内容では全くそれが反映されていなかったら、どう思うでしょうか。
ほとんどの場合、サイトから離脱されてしまうでしょう。つまり、このケースではクリック数は稼げますが、コンバージョン率が低くなるのです。そのまま配信し続けると、やがてCPAが悪化します。
だから、実際に商材としては強みを持っていても、サイトに載せていない情報を「セールスポイント」として打ち出すことは、推奨しません。
内容をまとめましょう。
- リスティング広告は、競合と比較をされることが前提の広告。
- 自社の広告に振り向いてもらうためには、「セールスポイント」を訴求する。そうすることで、ユーザーにメリットを提示できる。
- セールスポイントは、サイトの情報に載せてあるものを打ち出すのが望ましい。その結果、コンバージョン率を担保しやすい。
成果の出る広告文の事例
実際に、成果に繋がりやすい広告文を考えていきましょう。新宿にある居酒屋への集客を例に、進めていきます。
商材のセールスポイント
- 食べ放題のコースがある。
- 飲み放題のコースがある。
- 新宿駅から徒歩3分以内の立地にある。
これらのセールスポイントから、下図のように広告文を訴求できそうです。
自社の強みを打ち出した広告文を作成できたら、キーワードと繋げていきましょう。
まずは、「新宿の居酒屋」を探しているユーザーに対して、広告文を届けることができれば、クリック率が向上します。
また、食べ放題のコースを探したい、というより明確な意志を持った「検索ユーザー」には、「食べ放題訴求の広告文」繋げることで、CVを期待できます。
このように広告文の作成では、検索ユーザー(キーワード)とサービス内容(サイト情報)が、うまく結びつくように、セールスポイントを打ち出して作成していくことが、成果を出す上での基本姿勢です。
単に、セールスポイントを打ち出すだけでは、検索ユーザーの情報を満たす内容になるとは限りません。逆に、単純にキーワードを含めただけの広告文は、品質スコアは向上するものの、自社の強みがユーザーに伝わらないため、クリック率が乏しい結果に終わります。
ユーザーに行動を促し、クリック率を上げる
セールスポイントを打ち出し、キーワードと商材(サイト)を結びつけるような広告文を作成したら、あともう一歩です。
自社の広告を選んでもらうよう、検索ユーザーの「背中を押す」一言を付け加え、行動(クリック)へのモチベーションを上げてもらいましょう。
先述の通り、リスティング広告は比較されることが前提の広告です。だから、検索ユーザーは「どの広告がいいのか?(自分のニーズを満たすか?)」ということを無意識に考えて、広告を眺めています。
そのため、他社の広告の方が魅力的に映れば、競合の広告文がクリックされてしまうのです。ですから、自社の広告をより選んでもらう(クリックされる)よう、動機付けの内容を付け加えましょう。
私がお勧めするのは、「価格」や「限定」の内容を加えることで、訴求力を高める方法です。分かりやすくお得感を伝えることで、ユーザーの購買意欲を高めることができるからです。
先程の居酒屋への集客で考えてみましょう。下図をご覧ください。
居酒屋を探しているユーザーに、「おっ、お得なサービスがある。良いかも?」と感じてもらえれば、それだけで購買意欲が高まり、クリック率が高まります。
よほどの高級料理店等ではない限り、居酒屋への集客においては、「食べ放題」「飲み放題」等のお得プランを打ち出すことで、効果的にCVへ繋げることができます。
英会話スクールへの集客ではどうでしょうか。下図をご覧ください。
スクールへの入会を検討しているユーザーに、「今なら限定で入会金が無料なのか。早く決めなきゃ」と思ってもらえれば、ユーザーの背中を押してあげる一因となり、クリック率が高まります。
期間限定でのお得サービスは、検討段階にいるユーザーにとっては、大きな魅力に映ります。適切に使いこなすことで、CV数の底上げに繋がります。
このように、「今動くことで特をする」と検索ユーザーに思ってもらうことで、行動(クリック)へのモチベーションを上げることができます。
誇大は表現は必ず避ける
ここまでの内容で、広告文の作成では「いかにユーザーに振り向いてもらうか?」が大事であることを見てきました。
しかし、同時に注意点もあります。ユーザーを引きつける広告表現は効果的ですが、やり過ぎてはいけません。
まず、あまりに誇張した表現を使うと、Google広告、スポンサードサーチのどちらにおいても、ガイドライン(指標・ルール)に抵触します。そのため、媒体の審査に落ちてしまい、広告が出せなくなるという本末転倒の結果に終わります。
更に言うと、ガイドラインに引っかかり、広告停止になるくらいのことは、まだマシだと言えます。一番良くないのは、誇大な表現を活用してユーザーの興味を引き、クリック数だけ稼いだ上で、CVせずに終わるパターンです。
仮に、英会話スクールへの集客で、次のような広告文を訴求したらどうなるでしょうか。
一見、「本当?」と思い、ユーザーは広告をクリックするかも知れません。しかし、クリック先にあるランディングページでは、普通の英会話スクールの情報が記載されているわけです。
この場合、検索ユーザーも「そんなおいしい話はあるわけがない」と感じ、そのサイトからは離脱します。結果、CVは起きません。
このように広告文をクリックさせることばかりに意識がいってしまうと、ユーザーと商材をマッチングさせる本来の役割からずれてしまい、適切な内容を訴求できなくなります。
また、仮に上記の内容でCVが起きたとしても、本当に一ヶ月で成果が現れなければ、ユーザーからの信頼を失います。こういったことが重なると、悪い口コミやクレームに繋がるので、やはり広告内容を過度に盛ってしまうことは、NGと言えるでしょう。
広告文を立案する際には、クリックさせることが目的ではなく、CVを達成してもらうことがゴールであることを、しっかり認識しなければなりません。
まとめ
今回は、広告文で成果を出すための大事なポイントを解説をしました。
広告文の本質は「繋ぎ役」です。すなわち、広告文で成果を出すことは、「質のいいユーザーを、一人でも多くサイトへ送客すること」だと言えます。
広告文をクリックしてもらうためには、工夫が求められます。リスティング広告は、比較をされることが前提の広告であり、競合の広告がクリックされる可能性も多いにあるからです。
そこで、自社のセールスポイント(強み)を使って広告文を訴求してきましょう。検索ユーザーが求めている内容を打ち出せれば、クリック率が向上します。
更に、セールスポイントに加え、ユーザーの行動を促す一言を付け加えると良いです。検索ユーザーにメリットを提示できれば、より行動(クリック)へのモチベーションが上がるからです。
しかし、広告文をクリックさせることに、主眼を置いてはいけません。クリック率ばかりに意識が向くと、誇大表現を盛り込んでいしまい、本末転倒の結果に終わってしまうことでしょう。
広告文の本質を理解した上で、ベストな訴求をし続ければ、質のいいユーザーがサイトへ送客されます。後はサイトの内容が適切であれば、リスティング広告から多くのCV数を稼ぐことができます。