キーワードを設定しても広告が表示されないこと、ありませんか?
これは検索エンジンのエラーではなく、仕組みとしてそうなっているのです。
結論を言えば、「日予算」「広告ランク」のいずれかが原因で、機会損失が発生します。リスティング広告において、インプレッションに制限がかかると致命的。CV獲得のチャンスが減るからですね。
しかしこの問題に気づけたならチャンスです。インプレッションを増やせば、成果が向上します。つまり広告に「伸びしろ」がある、とも言えるでしょう。それゆえ「広告表示の最適化」は重要ポイントです。
今回は「インプレッションシェア」について徹底解説します。
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インプレッションシェアとは
インプレッションシェアは本来広告が表示される回数(推定)に対し、実際に表示できた割合を%で示したもの。以下の数式で表せます。
この概念が運用にどう関係するのでしょうか。例えば、パフォーマンスの良いキャンペーンが一つあり、以下の数値が得られたとします。
- 広告が表示された回数は「500回」。
- 広告表示が起きるはずだった回数は「1000回」。
先述の数式に則れば、インプレッションシェアは50%になりますね。つまり全体のうち半分の機会にしか、広告が表示されていないわけです。言い換えると、500回分のインプレッションを逃している、とも考えられるでしょう。
しかしパフォーマンスを担保したまま、残り500回分の広告表示を起こせれば?CV数も2倍になる、と言えませんか。
インプレッションの割合が少ないなら、表示回数を増やすことで、CV獲得の機会を増やせる。つまりインプレッションシェアを把握することで、運用が適切に行われているか判断できるのです。
インプレッションシェア損失率とは
広告を表示できるにも関わらず、チャンスロスが起きるのはなぜでしょう。原因は「予算」と「広告ランク」にあり、以下の概念が関係します。
- インプレッションシェア損失率(予算)
- インプレッションシェア損失率(ランク)
一度仕組みを整理しましょうか。下図をご覧ください。
つまりそれぞれの「損失率の割合」が減れば、インプレッションシェアは増えます。それゆえ二つの損失率について見ていきます。
インプレッションシェア損失率(予算)
「インプレッションシェア損失率(予算)」は費用が足りないために、広告が表示されなかった割合のこと。キャンペーンに設定されている日予算が、想定される額よりも少ないので、インプレッションに制限がかかっている状態ですね。
インプレッションシェア損失率(ランク)
広告ランクが低いために、広告表示を逃した割合を示すのが「インプレッションシェア損失率(ランク)」です。
Yahoo!広告では「インプレッション損失率(掲載順)」と定義されます。
広告ランクという概念が出てきましたね。掲載順位が決まる大きな要因であり、以下の数式で表されます。
つまり「品質スコア」と「入札」を掛け合わせたものです。広告ランクが低いと、インプレッションに制限がかかる場合がある、と理解してください。
インプレッションシェア損失率を改善する
それでは損失率の改善方法を見ていきましょう。
インプレッションシェア損失率(予算)の改善方法
インプレッションシェア損失率(予算)の改善手段は非常にシンプル。
設定している日予算が足りないだけなので、広告費を増やせば改善されます。ですが、このプロセスを対象キャンペーン全てに施すのは推奨しません。ここは丁寧に見ていきましょう。
リスティング広告を実施するのは、インプレッションを増やすことではなく、成果を出すためです。従って、CVに繋げるために広告を表示させる必要があり、その手段としてインプレッションシェアを改善する、と考えるのが大前提。
この観点に則ると、以下の所作を加えるのがベストでしょうか。
- 予算に制限がないなら、成果の良いキャンペーンの日予算を上げる。
- 予算に制限があれば、成果の良いキャンペーンに日予算を再配分する。
予算を適切に分配すれば、成果の見込める部分でのインプレッションが増え、パフォーマンスが向上しやすいのです。以下のケースで見ていきましょう。
キャンペーンA、Bのどちらの予算を増やすべきでしょうか。
当然Aですね。パフォーマンスが良い部分の広告費を増やせば、好循環が起きるからです。
- 日予算を増やせば「インプレッションシェア損失率(予算)」が下がる。
- 「インプレッションシェア」が増え広告が表示される。
- CV数を稼ぎやすくなる。(パフォーマンスが良いから)
勝率の高いポイントで攻めるのは、マーケティングの基本的かつ大事な戦術でしょう。
では広告費に制限があるなら?この場合は「キャンペーンB」の日予算を「キャンペーンA」に移しましょう。次の結果を見込めます。
CVを獲得しやすくなるので、予算内での最適化が進むわけです。
日予算を上げるなら、パフォーマンスの高い部分へ。この視点を意識してください。
インプレッションシェア損失率(広告ランク)の改善方法
インプレッションシェア損失率(広告ランク)の改善方法も、プロセスは単純です。広告ランクの低下が原因なので、数値を上げればいいのです。
しかし注意事項も。先ほどの計算式を思い出してください。
「入札」または「品質スコア」を上げることが、広告ランク改善の手段。しかし入札を上げるのは推奨しません。クリック単価が高騰し、CPAが悪化するためです。
更に予算に制限がある中で実施すると、今度は「インプレッションシェア損失率(予算)」の割合が増えてしまうことに。以下の悪循環が成立するからです。
- 入札を上げるのでクリック単価も高騰する。
- 日予算内での「合計クリック数」が減り、「広告表示の機会」も減る。
- 広告ランクが改善されても「インプレッションシェア損失率(予算)」の数値が上がってしまう。
いかがでしょう。こうなると別の観点でデメリットが生じるため、入札を上げる意味はありません。ではどうするべきか?品質スコアを改善し、広告ランクを上げていくのがベストです。
品質スコアを改善する
品質スコアの仕組みについて簡略的に触れておきましょう。広告の品質を表す指標であり、以下の要素で決定されます。
- 推定クリック率。
- 広告の関連性。
- ランディングページの利便性。
複数の要因から成り立つため、改善方法も一つではありません。今回は「推定クリック率」「広告の関連性」の向上に目を向けましょう。
ランディングページの改修も大切ですが、「品質スコア改善」のために実施するのは工数が見合わなく、現実的ではありません。
最も手堅い方法は、「キーワードを含む広告文の作成」ですね。
検索ワードを含む広告文なら、「キーワード」との関連性はもちろん、ユーザーの目を引きやすいため、クリック率が高まります。
また検索語句を含んだ広告文は、検索エンジンの仕組み上、引き当てられる検索語句が増えるので、やはりクリック率の向上が見込めます。
つまり適切に広告文を作成していけば、広告ランクを改善できる、と言えませんか。その結果、インプレッションの増加に繋がるのです。
「広告文作成」->「品質スコアの改善」は運用テクニックの一つ。インプレッションシェアの向上に役立つことを認識してください。
関連リンク :
なお品質スコアについては、以下の記事で詳細に解説しています。ご参照ください。
検索語句と広告文の関係性に関しては、下記にてまとめています。併せてご参照ください。
まとめ
今回は「インプレッションシェア」について解説しました。
広告表示が適切に行わなければ機会損失が発生します。そのため「仕組み」「改善方法」を理解しましょう。
とりわけキーワード数が多いと、インプレッションシェアの損失が起きやすいです。このような局面では、広告表示の機会を増やすことで、パフォーマンスが向上します。