健康食品の通販会社は大抵リスティングを実施しています。
ネット経由の集客が中心ですぐに結果を求めるからです。
しかしもうリスティングのみでは時代に追いつけません。
日々似た商品がリリースされるEC業界はレッドオーシャン。限りある広告枠を奪い合いCPAは高騰しています。後発企業が参入しても失敗に終わる場合も否めません。これが現状でしょう。
今後はディスプレイ広告の活用が必須です。
圧倒的なトラフィックを稼げる広告枠でうまく勝負する。それに伴い他の部分も改善していく形でしょうか。記事LPを導入したり薬事法に適応したり。
アフィリエイトの方法まで変わります。
健康アップデートにより多くのメディアが死滅しました。個人サイトで広く集客する手段は終わりつつあります。健康分野では。
これからは質の良いリストの獲得に重きが置かれましょう。
変化の早い分野では集客プロセスも変わらないといけません。
こう考えると大変に感じますね。しかし適切に行えば数字に表われる。つまりやり切れるかが重要です。
今回は「ダイエットサプリの通販サイトの成功事例」をご紹介します。
CONTENTS
ダイエットサプリのECサイトへの集客
「新商品にダイエットサプリメントを発売しましたが売れ行きが悪い。リスティング広告をやっていますが赤字続きです・・・。黒字にできますか?」
通販企業の広告主様にご相談頂きました。
現在は代理店に運用を委託し赤字が続いている模様。信用ある人にお願いしたい、とのことでご依頼頂いたのがきっかけです。
このECサイトは目標を以下に定めていました。
- 広告費用 : 250万円。
- (目標)CV数 : 500件(お試し購入がCV地点)
- (許容)CPA : 5000円。
そして実際の成果が次です。
- CV : 170CV。
- CPA : 15000円。
CPAの高騰が凄まじく外注先の変更を決意したようです。
私は商品情報や今までの経過をヒアリングし資料を一式頂きました。
そして帰宅後に分析作業を開始。しばらくして「思った以上にハードルが低い。いけるな」と直感で判断しました。さっそく今後の広告戦略のプランニングを描き始めました。
既存アカウントの問題点
リスティング広告で勝負していた
先述の通りこの商品はリスティングを軸に集客を図っていました。実はこれ自体がボトルネックだったのです。
健康食品における通販のWeb市場を整理しましょう。
今までは「リスティング」->「LP」で新規を獲得するのが王道でしたね。薬事法に触れない範囲で。
しかしこの集客スタイルは崩れつつあります。古いやり方と言えましょう。理由は競合が増えたからです。リスティング広告は決して完璧ではありません。CVワードには限りがある。下図をご覧ください。
成果重視ならこの層を狙わないといけません。しかし他社も同じことを考えます。するとどうなるでしょう?どの企業も似たワードに入札しませんか。つまり広告枠を奪い合うのでクリック単価が高騰します。そしてCPAが悪化する。こうして悪循環に陥るのです。
既存アカウントはこの流れで勝負していました。負の連鎖を断ち切れなかったのです。
リスティング広告は素晴らしい手法です。即効性もある。しかし勝ち目が薄いなら違う手段を取るべきでしょう。市場が変化すれば適応が求められる。一つの方法に固執してもそれが命取りになりかねません。
参照リンク :
検索型広告のメリット及びデメリットは下記にまとめました。ご参照ください。
薬事法を意識し過ぎていた
次に目を引いたのが薬事法への過度な意識です。
薬事法とは
医薬品や化粧品等の品質、有効性を確保する目的で規制をかけた法律。
健康食品の広告は薬事法を考慮しなければなりません。
特にダイエット商材は食事の「代わり」になるかで可能表現が異なります。今回はサプリメントなので「痩せる」等の訴求はできません。これが痛い。
もちろん広告主様や代理店もこれを認識済み。問題は次です。既存アカウントは規制を過度に意識して広告を作成していました。
内容は開示せずに進めます。
言い換えると訴求力が極端に弱かったのです。もちろん薬事法が壁であることに相違ありません。しかしそこだけを意識した「広告」「LP」で成果に繋がるでしょうか。答えはNoですね。
要はもう少し「訴求力」と「規制」のバランスを取るべきでした。よく分からない広告でCVが見込めないのは明白でしょう。
後に安全のみ追求した理由が判明しました。それは代理店が工数をかけたくなかったため。無難ですがパフォーマンスは望めません。
実施した改善策
それでは私が実施した改善策を見ていきましょう。今回は戦略から根本的に変更しました。既存のボトルネックを改善しても目標に届かないと判断したため。
ECは変化が速くその中で最適な手を打たなければなりません。これを踏まえディスプレイ広告を軸に広告展開しました。それに伴い「LP」も「記事LP」に変更。そして薬事法のバランスも考えます。
以上を押さえた改善案は下記です。
・記事LPの活用。
・薬事法に適応する。
・広告の精度を上げる。
・レスポンシブ広告の利用。
・比較サイトの活用。
・スマートディスプレイ広告で刈り取る。
・アフィリエイト広告の改善。
それぞれ順に見ていきましょう。
使用媒体はGoogle広告、Yahoo!プロモーション広告、i-mobileです。
参照リンク :
ディスプレイ広告のメリット及びデメリットは以下にまとめました。ご参照ください。
記事LPの活用
広告から通常LPに遷移させるのを止めました。間に記事LPを挟むことにしたのです。
記事LPとは
ページ内で潜在層が持つ悩みを解決し、購入意欲を高め、通常LPに繋げる記事。
理由はディスプレイ広告との相性が良いためです。GDNにしろYDNにしろ広告を届ける対象は潜在層ですよね。
潜在ユーザーの特徴は購入意欲が固まっていないことです。いきなり通常LPで商品をアピールしても振り向きません。なので記事LPで悩みを浮き彫りにし意欲を喚起させる。その後に商品を売り込めば良いのです。下図のような形でしょうか。
つまり今までと異なるユーザーに接触するので見せる広告も変えたのです。理にかなっていますね。
注意事項
作成過程で他社を模倣するだけの方がいますが推奨しません。目先しかうまくいかないからです。ECでは常に記事を作り続ける必要がある。なので長期的にはベストを尽くす姿勢がものを言います。
薬事法に適応する
薬事法への適応度を高めました。
守秘義務のため改善した際の「考え方」を共有します。ご了承ください。
今までは確実に規制を避ける広告表現をしていたのでしたね。
例えば「芸能人も使用中の〇〇♩」と広告を作成していました。これが良くありません。この訴求内容の欠点にお気付きでしょうか?商品のベネフィットが何も伝わりませんよね。なので広告を届けてもメリットを打ち出せません。威力が弱く成約率が下がるわけです。それがアカウント全体に波及していく。最終的にCPAが悪化しました。
これが通用するのはブランド力のある企業だけです。大手の戦略とも言えましょう。ブランドの力で訴求の弱さをカバーできるため。中小企業が真似してもうまくいきません。それゆえリスクを取りました。「悩み訴求」に切り替えたのです。
ここで問題が起きます。サプリの効能を謳う必要があり薬事法の壁にぶつかる。しかし規制は完璧ではありません。抵触しない部分を見つけてそこを突く。または要件を満たすよう時間をかける。例えば臨床試験をクリアーしたりアンケート調査の実施だったり。こうやって問題を解決していくのです。
徹底すればパフォーマンスが改善します。信頼性が上がるからですね。そして表現の幅も広がりCV率が高まるのは明らかでしょう。
実施した結果はどうだったのか。成果改善のみならず定期購入への引き上げ率も上がりました。信頼性があれば良質な顧客が集まる。それゆえLTVが高まるのは想像に難くありません。
LTVとは
一人の顧客が購入するトータルの金額。単品通販では成果指標に使う。
この効果は次のように表せます。
- 取得した顧客リストの「量」が増えた上に「質」まで向上した。
この威力、お分かりでしょうか。差別化を図るには大勢が避ける部分に目を向けて下さい。攻略すればマーケティング上の「堀」を固められる。つまり模倣の争いから脱却できましょう。健康食品、とりわけダイエット商材でのそれが薬事法なのです。
私が初めて法規制に悩んだのは育毛商材においてでした。もちろん医薬部外品なので健康食品とは異なります。しかしこの時学んだことが生きました。時間をかけたことは別の機会でも役立ちます。
広告の精度を高める
広告のターゲティングやLPの精度を高めました。
この商材のメイン層は若い女性です。なのでこのターゲットに向けた販促活動を行いました。まずGDNでリーチする対象を20代の女性に絞る。その上で遷移先ページの内容にも統一感を出す。
この手順を踏めばCV率が上がります。見込み客へストレートに訴求できるため。するとCPAが改善されますね。
ところで今回「絞り」の発想を用いたのはなぜでしょうか。理由はディスプレイ広告を採用したからに他なりません。これは検索連動型広告と比べることで理解が進みます。リスティングは意欲のあるユーザーに接触できる。購入意思がキーワードに変換されるからです。
それゆえターゲットを絞り込む必要はありません。むしろ範囲を狭めると機会損失が起きましょう。
しかしディスプレイ広告では事情が異なる。リーチできる層が潜在ユーザーです。商品への検討度が低いことは否定できません。一方で広告が届く「絶対数」は増えますね。であれば違う側面で絞り確度を上げれば良いのです。今回は「属性情報」を利用しました。
私はこのプロセスを「40代の女性」「30代の男性」といった形で横展開しました。
結果はCPAが下がったのは言うまでもありません。取りうる施策が違うなら「広告」「LP」もそれに合わせてください。この所作がパフォーマンス向上に繋がります。
参照リンク :
GDNのユーザー属性に関しては以下で解説しています。ご参照ください。
レスポンシブ広告の利用
レスポンシブ広告を利用しました。
レスポンシブ広告とは
GDNとYDNで活用できる広告フォーマット。
「見出し」「画像」を用意すれば色々なパターンの広告が自動作成されます。
このレスポンシブ広告と記事LPの相性が良いのです。なぜならシンプルなデザイン形式ゆえコンテンツに馴染みやすい。ネイティブアドの役割も果たせます。
ネイティブアドとは
掲載面に広告を溶け込ませコンテンツの一部として見てもらう広告。
前述の通り記事LPではサプリメントを売り込みません。まずは意欲が湧く内容にするのでしたね。なのでそこに繋ぐ広告も自然に表現したい。つまり通常バナーよりシンプルな広告が噛み合うのです。
またレスポンシブ広告は全ての広告サイズに変換されます。つまり多くの配信面にリーチできる。
こうなると運用で有利になりませんか。入札競争を避けられクリック単価が下がるため。ディスプレイ広告の弱点(CV率の低さ)を補えましょう。
結果は配信量が増えCPAが安定しました。実際のマーケティグプランに沿った広告を採用してください。「広告」->「LP」の流れに一貫性を出せば成果を期待できます。
参照リンク :
GDNのレスポンシブ広告については以下で解説しています。ご参照ください。
比較サイトの活用
比較サイトを作成しました。理由はリスティングで利用するため。
実は検索型広告を辞めた訳ではありません。成果が出るキーワードは残しました。
しかしLPは同じものを使い続けマンネリ気味。効果が低減していました。そこで比較サイトを取り入れる。要はクリエイティブ面も変化を出すという意味です。
我々が何かを購入する際は評判を気にしますよね。ネットではその受け皿が「比較サイト」です。つまりコンテンツに信用があればCVを期待できる。
本当にそれで効果があるのか?と感じるかも知れません。
それではGoogleで「ダイエットサプリ」と検索してください。広告枠に複数のランキングサイトが表示されませんか。競合も利益を得ているから出稿しているのです。相性が良いものは上手に取り入れる。そんな姿勢が大切でしょう。
注意事項
CV率は少し低いです。反対にクリック率は高まる傾向に。ユーザーは口コミを気にするからです。この性質を運用に反映させるのが肝でしょうか。つまり単に実施しても成果を見込めません。
スマートディスプレイ広告で刈り取る
GDNとYDNの機能もフル活用しました。一例を挙げるとスマートディスプレイを導入しました。
スマートディスプレイキャンペーンとは
GDNの機能の一つ。自動化に特化した配信手法。
今まででCPAを落としましたね。広告を届ける対象を狭めたりLPの訴求力を高めたり。このプロセスを経ると機械学習が進みます。
機械学習とは
Google広告の機能。データを学習しパターンを見つけ運用に生かす仕組み。
なぜならGoogleがCVユーザーの特徴を学ぶため。従ってこの段階で攻めに出ます。
「入札」「ターゲティング」「広告」の全てを自動化。それを精度良く行い見込み客へアプローチします。
パフォーマンスは1番のCV数を叩き出しました。上々の結果でしょう。
アカウントは根拠を持って構築してください。
どの機能に何の役割を担わせるか決めること。バランスを意識しつつ成果の最大化を目指してください。今回だと事前にアカウントの下地を整える。(CPAを落とす)その上でレバレッジ(CV数を刈り取る)をかけたわけです。
Googleのシステムは完璧ではありません。機械学習が進むよう常に調整してください。徹底すれば平均を打ち負かせます。
参照リンク :
GDNのスマートディスプレイについては以下で解説しています。ご参照ください。
GDNの機能に関しては下記にまとめました。併せてご参照ください。
アフィリエイト広告の改善
アフィリエイト広告を改善しました。状況を整理します。
このダイエットサプリは「アフィリエイト」でも集客を図っていました。
アフィリエイトとは
第三者に記事を書いてもらい商材の「認知」「購買」に繋げる広告。
しかし健康アップデートにより獲得数が激減していたのです。
健康アップデートとは
Googleアルゴリズムの一種。この影響でアクセス激減になった健康系サイトが多数。
なのでこのボトルネックを解決したい。今回取ったアプローチは主に2つです。
法人媒体でアプローチ
法人媒体と提携しました。アップデートで被害を受けたサイトの多くは中規模メディア。個人アフィリエイターが大半です。逆に信頼性のある法人メディアは力を持ち始めました。
それゆえ広告を載せる媒体を見直しました。これまでは個人サイトで広く新規を狙うやり方。「量」で攻めていました。しかし以後は法人サイトで優良顧客の獲得に集中。「質」に主眼を置いたのです。
そのために特別単価を用意したり取材をしてもらったり。更にターゲットを明確にした内容で訴求しました。ここまで地道なプロセスで進めるのはなぜか。それは1CV単位のLTVが向上するからです。
実際には媒体毎にデータ計測をしてPDCAを回しました。
結果は定期購入への引き上げ率が高まりました。市場が動いたらそれに合う方法で適応する。これが正しい考え方です。
比較サイトでアプローチ
運用系広告の強い比較サイトとも提携しました。SEOが機能しないならPPCに予算を回す。これは当然の流れで事実そうなりました。しかしどのサイトも上手くいく訳ではありません。
「PPC」と「SEO」はやり方が別です。「広告」->「比較サイト」は運用力が問われる。利益が出ず撤退に終わる場合も否めません。従って上位20%と判断できるメディアと提携。
特別単価を提示しパフォーマンス向上に努めました。CVワードを提供したりターゲットを共有したり。最終的にLTVを判断しPDCAを回します。
結果はややCPAが高まりました。しかしCV数の底上げに成功。悪くありませんね。
アフィリエイトはASPに登録して終わりではありません。それで良いならどの通販企業も大儲けでしょう。時代に合わせ取り組み方も改善して下さい。
「質」を追求する過程で改善した部分は他にも。「確認画面」で定期購入を促したり「ライン」で引き上げを狙ったり。リストの質が高まれば後の展開も有利です。
参照リンク :
広告系アフィリエイトの成功事例は以下で解説しています。併せてご参照下さい。
配信結果
改善結果は以下です。
- CV数 : 625件
- CPA : 4000円。
無事に目標達成です。自信はありましたがホッとしました。
まとめ
今回は「ダイエット健康食品での成功事例」を紹介しました。
改善内容が多かったですか?実はここに記載したのは一部に過ぎません。
リプレイスの段階、改善の途中、攻める局面ではやることが異なります。
競合が多く変化が激しい分野では簡単に集客できません。
しかし適切な手段でやり抜けばリターンを狙えます。今までの2倍どころか3倍の利益獲得も難しくないのです。それが毎月続き「リストの価値」まで高まれば大成功でしょう。